2025/11/17 学部・学科
スポーツビジネス学科「スポーツビジネス論」11月5日(水) 開催レポート
北海道では、大学卒業者の約4割が道外に就職する「若年層の人材流出」が深刻な課題となっています。こうした状況の中、地元企業と学生がキャリアを共に考える出前授業として、スポーツビジネス学科1年生約70名を対象に、栄建設株式会社(札幌市)による特別講義を実施しました。
同社は建設事業に加え、モータースポーツ活動を核にした独自のブランディング戦略でも注目を集めています。本講義では、北海道で働く魅力やキャリアの可能性を、現場で活躍する社員兼レーサーから直接学ぶ貴重な機会となりました。
厚生労働省北海道労働局の発表によれば、道内大学卒業者の約4割が道外へ就職しており、
その理由として――
・キャリア選択肢の多さ
・収入・待遇
・成長機会のイメージの差
などが挙げられます。
一方で、インフラを支える建設業界は慢性的な人手不足に直面。若い世代からは「きつい・汚い・危険」といったイメージが根強く、就職先として敬遠されがちです。
栄建設では、
・モータースポーツ参戦
・作業着撤廃
・多様な地域貢献活動
などを通じて、業界のイメージ刷新と若年層のキャリア形成支援に取り組んでいます。
代表取締役 佛田尚史氏
講義前半では佛田社長が、建設業とモータースポーツを掛け合わせた独自のブランディング戦略を解説。
「北海道にいても“好きなこと”と“仕事”は結びつけられる。
地元でも新しい価値はつくれる」(佛田社長)
学生には、固定概念にとらわれず北海道で自分らしいキャリアを描く大切さがメッセージとして伝えられました。
後半は、社員でありながらレーサーとしても活躍する3名による対談が行われました。
登壇した社員兼レーサーの3名は、それぞれの経験をもとに「好きなことを諦めないこと」の大切さを語りました。
レース経験のないところから独力でスポンサーを集め、アルバイトをしながら夢を追い続けてきた例や、厳しい場面を乗り越えて初めてサーキットを走ったときの喜びなど、挑戦の背景には“本気で続ける覚悟”があると強調しました。
レースは危険と隣り合わせの競技ですが、実際にはスピードよりも冷静な判断力が求められ、日常の運転は「誰よりも安全運転」。免許停止になればレースにも出られないため、普段から交通ルールを徹底する姿勢も共有されました。
普段の業務は道路維持や除雪作業、車両整備など、地域を支える仕事が中心。仕事とレースの両立については「地元企業の仕事を通して培う技術や体力がレースにも活きる」と語ります。
またレーサーに必要なトレーニングとして、強いGに耐えるための首や腕のトレーニング、持久力の維持など、体づくりへの工夫も紹介されました。
さらに、レーサーになることは費用面でも難易度が高い一方、「好きな気持ちを持ち続けて行動し続ければ、支えてくれる人やチャンスと出会える」と実体験をもとにメッセージを発信。
好きなことを続けることが、新しい可能性や思いがけない出会いにつながると学生に呼びかけました。
今回の出前授業は、**「北海道で働くこと」「好きなことを仕事につなげること」**のリアルに触れる貴重な機会となりました。
地元の企業が学生と真剣に向き合うことで、
・北海道で働く魅力
・キャリア形成の選択肢
・夢を追い続ける価値
を伝える力強い授業となりました。
栄建設が語った「好き×仕事×地元」という新しいキャリア像は、多くの学生の心に響いたようです。