2025/06/19 学部・学科
「心理学を学んだその先に、どんな仕事があるのだろう?」そんな問いに答えるかのように、6月6日(金)、札幌国際大学に法務省の職員を招いて特別講義が行われました。
「司法・犯罪心理学」の科目。刑務官、法務教官、矯正心理専門職という、司法の現場で心理学がどう活かされているのか、現役職員によるリアルな話に、学生たちは熱心に耳を傾けました。
刑務官、法務教官、矯正心理専門職はいずれも、罪を犯した人の更生や社会復帰を支える「対人援助職」です。
講義では、各職種のやりがいや面白さも語られました。
法務教官は、行動観察を通じて少年の変化や成長に立ち会えることが、この仕事の魅力だといいます。「非行を繰り返さないよう『種まき』をする仕事」とたとえられ、再スタートを切るきっかけをつくる存在です。
矯正心理専門職は、同僚にも心理職が多く、互いに学び合いながら自己研鑽ができる環境である点が評価されています。
刑務官は、6月から"懲役刑"と“禁錮刑”に代わって始まった"拘禁刑"に対応して、それまでの“刑罰”から、“教育”や“治療”を意識した新たな取組みにチャレンジしていく、かつての開拓使のようなフロンティアスピリット
が魅力です。
たとえば心理技官は、家庭裁判所へ提出する報告書で、非行や犯罪の背景を正確に表現する必要があります。記載された内容は裁判官の判断材料になるため、言葉一つにも重みがあり、慎重な判断と高い表現力が問われます。
また、犯罪や非行をした者と接する場面では危機管理能力も求められ、多様な専門職と連携しながら日々の業務を進めていく力が必要です。
司法領域の「対人援助職」として、全職種が、国民の安全と安心を念頭に置きながら、「犯罪」という行為を行ってしまった人たちの人権に配慮し、全ての人が暮らしやすい社会を常に意識して日常の業務にあたっていることが理解できました。
講義の終盤では、各職種の採用情報や研修制度、キャリアパスについても紹介されました。
日頃なじみが少ない司法領域の、さらになじみのない「矯正」の世界を知ることで、心理学を学び「対人援助職」を目指す学生にとって、新たな選択肢を知る貴重な半日でした。