2025/11/18 コラム
「人の心を支える仕事がしたい」「心理学を活かして社会に貢献したい」
そう考えているあなたへ。この記事では、札幌国際大学 心理学科 臨床心理専攻が、心の専門家として社会で活躍する国家資格「公認心理師」について、その仕事内容から資格取得のロードマップ、気になるお給料や将来性まで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。
本学は、心理職初の国家資格である「公認心理師」の受験資格取得に必要なカリキュラムについて、文部科学省および厚生労働省から承認を受けています。この記事を読めば、公認心理師という資格の全体像を正確に理解し、あなたの未来のキャリアプランを描くための、確かな第一歩を踏み出せるでしょう。
「公認心理師」という言葉を初めて聞く方もいるかもしれません。公認心理師は、2017年に施行された「公認心理師法」という法律に基づいて誕生した、心理職における日本で初めての国家資格です。国が認めた「心の専門家」であることの証です。
法律(公認心理師法 第2条)では、公認心理師は以下のように定義されています。
保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
少し難しい言葉が並んでいますが、簡単に言うと「さまざまな場所で、心理学の専門知識と技術を使って、心に悩みを抱える人やその周りの人をサポートする専門家」ということです。相談者の話を深く聴き、心理検査などを用いてその人の状態を客観的に理解し、問題解決に向けて一緒に歩んでいく、非常に重要な役割を担います。
心理学分野の資格には、公認心理師をはじめ、「臨床心理士」や「認定心理士」など、さまざまな種類があります。将来の進路を考える際には、それぞれの違いを正しく理解しておくことが大切です。
以下では、札幌国際大学で取得を目指せる資格を中心に比較しつつ、参考としてその他の関連資格についてもあわせて紹介します(※精神保健福祉士は本学では取得できません)。
| 資格 | 種類 | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 公認心理師 | 国家資格 | 公認心理師法 |
| 臨床心理士 | 民間資格 | なし |
| 認定心理士 | 民間資格(学会認定) | なし |
| 精神保健福祉士 | 国家資格 | 精神保健福祉士法 |
公認心理師をはじめとする心理系の資格は、将来の進路を考える上でその違いを正確に把握しておくことが重要です。
ここでは、札幌国際大学で取得を目指せる資格を中心に、「公認心理師」「臨床心理士」「認定心理士」「精神保健福祉士」の4つの資格を、比較しやすいよう小見出しに分けて解説します。
※1 名称独占資格:資格を持つ人だけがその名称(例:「公認心理師」)を名乗ることができる資格のこと。資格がないのに名乗ると法律で罰せられます。
公認心理師は、その専門性を活かして社会のさまざまな場所で活躍しています。主な5つのフィールドを見ていきましょう。
病院の精神科や心療内科、小児科、地域の保健センターなどで働きます。病気や怪我で心に負担を抱えた患者さんやその家族のカウンセリング、心理検査(※2)による正確な状態の把握, 医師や看護師と連携して治療方針を考えるチーム医療の一員としての役割などが主な仕事です。
※2 心理検査:質問紙や作業を通して、個人の知能、発達、性格などを客観的に測定し、理解するための専門的なツール。
児童相談所、発達支援センター、高齢者施設などで活躍します。虐待を受けた子どもの心のケア、発達に課題のある子どものサポート、障がいを持つ方の自立支援、高齢者の孤独や不安の軽減など、社会的に弱い立場にある人々に寄り添い、支える仕事です。
スクールカウンセラーとして小・中・高校に勤務するのが代表的です。いじめや不登校、友人関係の悩み、学習への不安など、子どもたちが抱えるさまざまな問題の相談に乗ります。生徒だけでなく、保護者や先生からの相談に応じ、より良い学校環境を作るためのアドバイスも行います。
家庭裁判所、少年鑑別所、刑務所といった場所で働きます。非行を犯した少年の立ち直りを支援したり、犯罪被害者の心の傷の回復をサポートしたりします。人の人生の岐路に深く関わる、非常に専門性の高い仕事です。
一般企業で働く人々のメンタルヘルスを支えます。会社の相談室で社員の悩みを聞いたり、ストレスチェックを実施したり、休職した人の職場復帰をサポートしたりします。すべての人が健康に、いきいきと働ける職場環境を作るための重要な役割です。
公認心理師になるためには、大学で特定の科目を学び、国家試験に合格する必要があります。ここではその道のりを、札幌国際大学での学びに沿って詳しく解説します。
公認心理師の国家試験を受けるためには、まず「受験資格」を得なければなりません。そのためのルートはいくつかありますが、高校生の皆さんがこれから目指す場合の代表的なルートは以下の2つです。
| ルートA:大学+大学院 | ルートB:大学+実務経験 | |
|---|---|---|
| STEP 1 | 高校卒業 | 高校卒業 |
| STEP 2 | 4年制大学で指定科目を履修 | 4年制大学で指定科目を履修 |
| STEP 3 | 大学院(修士課程)で指定科目を履修 | 国が定めた特定の施設で2年以上の実務経験 |
| STEP 4 | 公認心理師 国家試験受験資格 | 公認心理師 国家試験受験資格 |
札幌国際大学では、多くの人が選択する「ルートA」に学部・大学院ともに完全対応しています。心理学科臨床心理専攻で4年間学んだ後、併設されている大学院心理学研究科へ進学することで、国家試験の受験資格をスムーズに目指すことができます。
公認心理師になるために、大学と大学院でどのようなことを学ぶのか、具体的な科目名を見てみましょう。札幌国際大学 心理学科 臨床心理専攻では、公認心理師になるために必要なこれらの科目を体系的に学ぶことができます。
<大学で履修が必要な25科目> 公認心理師の職責 / 心理学概論 / 臨床心理学概論 / 心理学研究法 / 心理学統計法 / 心理学実験 / 知覚・認知心理学 / 学習・言語心理学 / 感情・人格心理学 / 神経・生理心理学 / 社会・集団・家族心理学 / 発達心理学 / 障害者・障害児心理学 / 心理的アセスメント / 心理学的支援法 / 健康・医療心理学 / 福祉心理学 / 教育・学校心理学 / 司法・犯罪心理学 / 産業・組織心理学 / 人体の構造と機能及び疾病 / 精神疾患とその治療 / 関係行政論 / 心理演習 / 心理実習(80時間以上)
<大学院で履修が必要な10科目> 保健医療分野に関する理論と支援の展開 / 福祉分野に関する理論と支援の展開 / 教育分野に関する理論と支援の展開 / 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開 / 産業・労働分野に関する理論と支援の展開 / 心理的アセスメントに関する理論と実践 / 心理支援に関する理論と実践 / 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践 / 心の健康教育に関する理論と実践 / 心理実践実習(450時間以上) 注意:国家試験受験に必要な実習科目の履修には、成績による履修制限など学内での条件があります。日々の学習が重要です。
本学では、単に資格取得に必要な知識を学ぶだけではありません。人のこころを深く理解し、社会で真に活躍できる専門家を育成するための特色ある教育を展開しています。
こころの働きや仕組みといった心理学の専門知識を深く身に付け、人のこころを理解し援助につながる視点を養います。講義で得た知識を演習や実習で実践的に活用することで、確かなスキルを育てます。
これらの力を高めることでコミュニケーション能力が向上し、教育分野や医療現場で活躍するカウンセラーなど、臨床心理の専門職としての道が拓けます。
本学では、公認心理師だけでなく、学生一人ひとりの興味や目標に応じた多様な資格取得をサポートしています。
その他、カウンセリング実務士、心理学検定、児童指導員任用資格、図書館司書など、将来の可能性を広げる資格取得も目標にできます。
公認心理師の国家試験は、年に1回実施されます。試験範囲が非常に広く、専門的な知識が問われるため、計画的な準備が必要です。
| 実施回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 第5回(2022年) |
33,296人 |
16,084人 |
48.3% |
| 第6回(2023年) |
2,020人 |
1,491人 |
73.8% |
| 第7回(2024年) |
2,089人 |
1,592人 |
76.2% |
決して簡単な試験ではありません。だからこそ、札幌国際大学では、日々の授業を通じて着実に実力がつくよう、きめ細やかな指導を行っています。
国家試験に合格しても、すぐに「公認心理師」と名乗れるわけではありません。国に登録して初めて、プロとして活動を開始できます。
資格取得後のキャリアを考える上で、収入や将来性はとても気になるところだと思います。ここでは、信頼できるデータに基づいて解説します。
厚生労働省の「公認心理師の活動状況等に関する調査」によると、公認心理師の年収で最も多い層は「300万円〜400万円未満」(約21%)でした。ただし、働く場所や経験によって大きく異なります。
分野別の年収(最も多い層)
| 分野 | 年収帯 |
| 保健医療分野 |
300万円〜400万円 |
| 福祉分野 |
300万円〜400万円 |
| 教育分野 |
300万円〜400万円 |
| 司法・犯罪分野 |
400万円〜500万円 |
| 産業・労働分野 |
500万円〜600万円 |
雇用形態・経験年数別の年収
| 区分 | 年収帯 |
| 常勤職員 |
400万円〜500万円 |
| 非常勤職員 |
200万円〜300万円 |
| 実務経験10年以上 |
400万円〜500万円 |
経験を積み、専門性を高めることで、より高い収入を目指すことが可能です。特に、需要が高い産業分野や、公務員として働く司法分野では、安定した収入が期待できます。
現代社会では、ストレス、人間関係の悩み、心の不調など、メンタルヘルスに関する問題がますます重要視されています。そのため、心の専門家である公認心理師の需要は、今後さらに高まっていくと予測されています。
※3 診療報酬:医療機関が提供した医療サービスに対して、公的医療保険から支払われる費用のこと。
何よりも大きなやりがいは、悩みを抱える人の心に寄り添い、その人が自分らしさを取り戻し、前向きに生きていく過程をサポートできることです。相談者から直接「ありがとう」と感謝される瞬間は、何にも代えがたい喜びとなるでしょう。
この記事では、国家資格である公認心理師について、札幌国際大学の学びと関連付けながら、その全体像を詳しく解説しました。
公認心理師は、医療、福祉、教育、産業、司法という幅広い分野で人々の心を支える、これからの社会にますます必要とされる専門職です。資格取得までの道のりは決して平坦ではありませんが、札幌国際大学には、あなたの「人の役に立ちたい」という想いを形にするための、理論と実践を兼ね備えた質の高い学びの環境があります。
夢への第一歩を、ぜひ札幌国際大学 心理学科 臨床心理専攻から踏み出してください