2023/09/11 学部・学科
歴史・文化の伝承と地域活性化に向けた役割を目指すなら「観光学」の知識は必須です。
学問的にも時限的にも切磋琢磨して行く事は簡単な道ではないことを承知で、人生の残した忘れ物を取りに行く気概で大学院にて学び直しを選択しました。
観光学研究科では、観光産業ビジネス・持続的観光とまちづくり・観光開発と文化などコロナ禍で世情が厳しい中においても、観光産業分析や観光動向予測など充実した学びを得ることができました。
国籍や異なる経歴を持ち、学業と研究に一心不乱に専念する院生の姿から大いなる刺激を受け、講義では幅広い知識に培われた先生から常に叱咤激励を頂き、修士課程を終えることができました。
研究論文では「北前船が繋いだ蝦夷地への交易と色彩文化を観光資源」について北前船史を紐解き、蝦夷地の近世から明治期に「北前船」を介して運ばれた歴史文化のルーツと文化財の多様性や北方交易の多文化共生が形成されていった変遷を探究しましたが、蝦夷地の色彩文化に関する史実に照準をあてた先行研究は少なく、歴史学で研究論文を書くことの挑戦は、とても創造的でした。
先人達より伝承された文化財を未来へ継承し、教育効果を上げる知的貢献の試みは意義があると希望を持ち、北海道における観光人材の重要性について提起しました。歴史文化の捉え方は史料の読み直しといえますが、この貴重な作業は、歴史をみる新しい視点や新たなカルチャーの創出に繋がり、進歩していくものとの認識を持つことができました。
研究の二つ目には、社会環境の変化に対応して近年急速に普及してきた教育と就労を繰り返す「リカレント教育(学び直し)」に注目しました。日本では「生涯教育」という呼称が一般的だが、日本のリカレント教育は、世界的にみても低水準といわれています。生涯を通じて学び直しのチャンスを求めている社会人は多く、学ぶ側と受け入れる側(大学や教育文化施設など)、さらに企業や自治体などの時間や資金面での援助といった社会的に検討があると一層学びの裾野が広がると思いました。
今後の長寿社会では、教育を受けて働き、転職することを複数回繰り返す人生に移行すると言われ、時代に淘汰されずに力をつけキャリア転換が成功するために、新たな教育サービスの機会提供と捉える国内の大学現場にとって関心は高いと思われます。
私自身、社会人の学び直しの門戸を開けてくれていた大学院でリカレント教育を体験し、研究論文に挑み、研究課題の不明瞭な点の解決に手懸りを見つけることができました。今後の自身のLIFE SHIFT(人生戦略)には、歴史文化の研究継続が課題ですが、提案力を磨くためにもリカレント教育の助けが必要だとい考えています。